電気工事士
公開日
2022.01.21

電気工事士

電気工事士とは、安全に電気が使えるように工事や管理をする職業のこと。電気工事法によって定められた国家資格です。

電気を扱う仕事には危険が伴い、一歩間違うと火災や事故を引き起こすため、深い知識と技術が欠かせません。

現代の暮らしでは、当たり前のように夜になると電気をつけて、エアコンで温度調節をし、パソコンを使用し、電車で移動します。

暮らしの中には電気があるからこそ快適であることがたくさんあり、それを支えているのが電気工事士。電化製品が起因となる事故や落雷による災害などを予防するのも電気工事士の重要な役割です。

評価・満足度

総合評価 3.0
平均年収
450万円
最高年収
1,000万円
やりがい
3.0
給与・年収
3.0
専門性
3.0
将来性
3.0
休日・待遇
3.0

電気工事士の主な仕事内容

電気工事士の仕事は大きく分けて2つあります。一つが建築電気工事、二つ目は鉄道電気工事。それぞれの具体的な仕事内容を以下に解説します。

建築電気工事

建築電気工事とは、あらゆる建物の屋内外電気設備の設計や施工を行う工事のことです。一般住宅やビル、公共施設、病院、工場などすべての建物には多くの電気が使用されており、それら全ての工事や点検は電気工事士が行います。

建築電気工事には、以下のような仕事が挙げられます。

  • 屋内の配線(電源、ケーブル、スイッチ、コンセントなど)
  • 外線配線工事
  • 冷暖房設備工事(エアコンの設置、
  • ビル管理(水道、ボイラー、エレベーター、自動ドアなど)

新しく建物を作る時、建設作業と平行して建築電気工事も発生します。例えば、建物に電気がつくように電気配線の設計や施行をしたり、コンセントや照明器具を取り付けたり、空調やエアコンの設置など、電気にまつわるあらゆる作業を担当するのが電気工事士。

現場・工事の規模によって作業人数は変わり、多くの場合は、施工責任者や現場監督の指示のもとで作業します。一つの現場作業が完了すると次の現場へ、というように作業現場や建物は多岐に渡るため、毎回新鮮な気持ちで仕事に臨めるのです。

自分が手がけた建物に明かりがともり、多くの人が安全に楽しく利用している姿を見るのは、電気工事士にとってのやりがいとも言えるでしょう。

鉄道電気工事

鉄道電気工事とは、電車が安全に走るために必要な電気設備の点検やメンテナンスなどを行う工事のことです。

鉄道には、電車に電気を送る架線、安全運行のための信号システム、踏切や照明などさまざまな電気設備があり、電気工事士が施工、メンテナンスを行っています。

鉄道電気工事の仕事には、例えば以下のような仕事が挙げられます。

  • 架線工事
  • 線路工事
  • 信号システム工事(信号機、踏切など)
  • 変電設備
  • 駅の電気設備工事(照明、改札、券売機、電気掲示器など)

電気工事士は、電車が安全に走るために古くなった架線を張り替えたり、信号機や踏切のメンテナンス・点検を行います。駅構内にある照明や改札機、券売機の施工や保守も電気工事士の仕事です。

鉄道の設備に欠陥や故障があると、それが一つの設備であっても電車のダイヤは大幅に乱れる可能性があり、大多数の人の生活に影響が出るでしょう。場合によっては大事故につながることも考えられます。

電気工事士は、鉄道の正確でスムーズな運行を支えることで、人々の安全で快適な暮らしも支えているのです。

電気工事士の年収

電気工事士の年収は、平均すると400〜500万円と言われています。そして、いくつかの要素で年収が決まるのです。

第一に、資格の有無によって年収には差が出ます。未経験から電気工事士として働く場合は、見習いとして仕事をスタート。最初の年収は300万円前後と言われており、その間に通常業務をしながら第二種電気工事士資格の取得を目指します。

さらに第一種電気工事士の資格まで取得し、実務経験も積むことで年収は400〜500万円くらいまで上がっていくのです。この中には資格手当が含まれています。

次に、社内の立場によっても、年収は変わるでしょう。仕事を教えてもらう立場からスタートし、まずは一人前の電気工事士を目指します。

上司や現場監督の指示のもと仕事ができるようになったら、次は現場監督や責任者といったマネジメントする側へと立場は上がっていくでしょう。そうすることで基本給が上がり、役職手当もつくため、年収は400〜600万円くらいまで上がります。

また、会社の規模や扱う業務の規模によっても、年収は違うでしょう。会社規模が大きければ大きいほど年収が高くなるとは言い切れませんが、大企業になれば、もともとの給与水準は高い傾向に。

最後に、個人事業主の電気工事士として独立しているケースも挙げられます。個人事業主となれば、営業活動から打ち合わせ、工事はもちろんのこと、経理や事務処理も自ら行わなければなりません。勤務時間や休みに関しても、会社に守られていないため、時に24時間体制で仕事をすることも考えられるでしょう。

成功している一部の人は年収1,000万円を超える人もいると言われています。しかし中にはうまくいかず、企業に勤め直す人もいるため、独立したら年収が飛躍的にアップするとは言い切れない現実があるのです。

電気工事士に求められるスキル

電気工事士として活躍するためには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。以下に詳しく解説します。

手先の器用さ

細かい作業が多い電気工事士の仕事。ミスなく確実に作業を行うためにも、手先の器用さが求められるでしょう。

例えば、建物内にも、屋外にも、多くの電線が複雑に入り組んでいます。漏電、感電といったトラブルや事故を防ぐためにも、配線や部品一つひとつに注意を払い、細かい手作業を行う必要があるのです。

そのため電気工事士には、細かい作業が正確にできる手先の器用さが求められます。

集中力

電気工事士の仕事は危険と隣り合わせ。常に集中して作業を行う必要があるのです。

高所で作業することも多く、配線の組み方を間違えると火災にもなりかねません。ちょっとしたミスや油断があると、自分だけでなく一緒に作業している人たちも巻き込むような事故になる可能性もあるのです。

そのため電気工事士は、常に安全で正確な作業をするために、集中力が欠かせない仕事と言えるでしょう。

コミュニケーション能力

電気工事士の仕事には、コミュニケーション能力が求められます。

電気工事は、他の作業員とチームで行う仕事が多く、大工や他の職人とも協力して作業することがほとんどです。チーム内で連携がとれていないと、作業が遅れたり、施工の質が下がったりすることも。電気に関連するトラブルが発生すれば、自分だけでなく周りの人にも危険が及ぶでしょう。

プレゼンが上手、うまく話ができるというコミュニケーションではなく、周りの人と必要な連携をとり、正しい情報交換ができるといった、チームで仕事をするためのコミュニケーション力が求められるのです。

電気工事士に役立つ資格・スキル・経験

電気工事士として働くために、必要な資格、役立つ資格について解説します。

第ニ種電気工事士資格

第二種電気工事士資格は、経済産業省が定める国家資格で、電気工事を行う際に必要な資格です。この資格を持っている人は、住宅や小規模の店舗、工場の電気工事が行えます。

第二種電気工事士試験は、年2回の実施。筆記試験と実技試験の両方に合格する必要があります。四肢択一方式、マークシート式です。筆記試験の合格率は50~60%程度、実技試験の合格率は60~70%程度です。

電気工事関連の基本的な知識を問われるため、合格率は比較的高め。資格の有効期限はありません。参考図書や過去問題集を購入して学んだり、Web上の勉強サイトを活用したり、通信講座も利用できます。

筆記試験の試験科目は以下です。

  • 電気に関する基礎理論
  • 配電理論及び配線設計
  • 電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具
  • 電気工事の施工方法
  • 一般用電気工作物の検査方法
  • 配線図
  • 一般用電気工作物の保安に関する法令

実技試験は、持参した工具を使用して、指定された配電図に従って配線作業や電線の接続などを行います。

第一種電気工事士資格

第一種電気工事士資格は、電気工事資格の中では上位の資格。第二種電気工事士資格ではできなかった、ビルや工場など大規模の電気工事が行えます。

例えば、病院やショッピングモールなど大規模商業施設での作業も可能に。第一種電気工事士の資格には有効期限があるため、5年ごとに講習を受けて資格を更新する必要があります。

筆記試験の試験科目は以下です。

  • 電気に関する基礎理論
  • 配電理論及び配線設計
  • 電気応用
  • 電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料・工具・受電設備(蓄電池に関しては一種のみ)
  • 電気工事の施工方法
  • 一般用電気工作物の検査方法
  • 配線図
  • 発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性
  • 一般用電気工作物・自家用電気工作物の保安に関する法令

実技試験は、第二種電気工事士試験と同様、工具を使って実際に配線を行います。

また、第一種電気工事士試験は、誰でも受験可能ですが、免許の発行には3年以上の実務経験が必要です。資格試験を合格したとしても実務経験が足りない場合は、第一種電気工事士と名乗ることはできません。

電気工事施工管理技士資格

電気工事士施工管理技士とは、電気工事の施工計画を作成したり、工事の工程や安全、品質などを管理し、電気工事の監督業ができる国家資格です。

電気工事施工管理技士資格を取得することで、責任あるポジションで働けるというメリットがあります。電気工事士として独立開業したい人にとっても役立つ資格と言えるでしょう。

電気施工管理技士は、1級と2級に分かれており、1級を取得するとより規模の大きな現場で活躍できます。キャリアアップや転職にも有利となる資格で、取得すると資格手当の対象になることも。

合格率は40〜60%。受験資格は、学歴や持っている資格によって必要な実務経験年数が異なります。かなり細かく分類されていますので、自分に受験資格があるかどうかは事前に確認しておきましょう。

電気工事士の仕事の厳しさ

電気工事士の仕事には、どのような大変さ、厳しさがあるのでしょうか。以下に3つのポイントを紹介します。

体力的にきつい

電気工事士の仕事は、細かい手作業や繊細な仕事もありますが、体力勝負な面も多々あります。

例えば、立ち仕事や屋外での長時間に及ぶ作業も多く、重い機材を運ぶことや高所での作業も多いでしょう。危険を伴う作業も多いため、常に集中していて疲れることも。

また、作業を安全かつ正確に、期日までに終わらせるためにも、体調管理が重要です。けがをしてしまったり、体調を崩していては、現場で作業するのは難しくなるでしょう。

電気工事士の仕事は、体力的にきつく、体が資本の職業なのです。

休みが少ない

電気工事士は休みが少ないと言われています。現場や工事の内容にもよりますが、電気工事業界全体として、他業界より休みが少ない傾向に。

工事には必ず工期があり、それを守るために残業が増えたり、まとまった休みがとりづらかったりします。途中でトラブルがあったり、作業が遅れたりするとなおさら休みづらくなるのです。

特に電気工事士の仕事は、自社やチームメンバーだけでなく、工事の現場で協働している他の職人や作業員たちにも影響します。そして建物や鉄道を利用する企業や人々に迷惑がかかることもあるでしょう。

そのため電気工事士は、安全さと正確さと工事のクオリティを保ちつつ、工期に間に合わせるために、休みなく仕事をしなければならないこともあるのです。

上下関係が厳しい

電気工事士の職場は、上下関係が厳しいと言われています。体育会系で、職人気質の人が多い電気工事士の世界。仕事を始めたばかりの頃は見習いとして、上司や先輩に仕事を教えてもらいながら、時に叱咤されながら、現場で技を学びます。

また、電気を扱う仕事であるため、一歩間違えれば命に関わるようなトラブル・事故につながりかねません。そのため、非常に厳しい教育を受けることになるのです。

電気工事士の仕事は、上下関係が厳しく、つらいこともあるでしょう。しかし一方で、密な人間関係や親身になって後輩の面倒を見るといった、人情深い一面もあるのです。

電気工事士に向いている人

電気工事士の仕事に興味がある人に向けて、以下に、どのような人に向いている仕事なのかを解説します。

機械いじりが好きな人

電気工事士の仕事は、現場での作業がほとんどです。大半の時間は、機械をいじったり、工事をしたり。デスクワークや事務処理はほんの一部です。そのため、機械をいじることや電気工事に関心を持てる人に向いている仕事と言えます。

例えば、ものづくりが好き、車やバイクをいじるのが好き、電子機器を触るのが好き、何かを分解して改造するのが好き、といった人にとって、電気工事士の仕事はおもしろいと感じるでしょう。

忍耐力のある人

電気工事士の仕事は、細かい作業をコツコツと行うことが多いため、忍耐力のある人に向いています。時に長時間にわたって一定の作業を行うこともあるため、飽きっぽくて集中力のない人には向かない仕事と言えるでしょう。

見習い期間は特に、厳しい指導にも耐えて、一人前になるためにコツコツと学ばなければなりません。資格を取ったからと言って一人前ではなく、それを裏付ける経験や技術が必要なのです。

そのため電気工事士は、少しのことで諦めたりせず、粘り強く学べる人、忍耐力のある人に向いている職業と言えます。

向上心のある人

電気工事士は、各現場によってさまざまな技術が求められます。特に見習い期間は、現場ならではの専門用語や資材・機材の名称など、覚えることがたくさん。

技術に関しても学びに終わりはなく、現場で活かせる資格も多種多様です。さらには時代とともに新しい技術も出てきます。先輩や上司から指導を受けながら、どんな現場であっても対応できるよう、学び続ける必要があるのです。

そのため電気工事士には、常に学び続ける向上心のある人に向いている職業と言えるでしょう。

電気工事士になるには

電気工事士として活躍するには、どのようなルートが考えられるでしょうか。以下に詳しく解説します。

電気工事士国家資格に合格する

電気工事士の仕事をするためには、まず電気工事士資格の取得がおすすめです。

資格がなくてもできる仕事もありますが、電気工事士の資格のない人は法律上、配線を組めません。資格がなければ見習いとして、機材の運搬や清掃といった単純作業のみ行います。

そのため電気工事士として活躍したい人は、第二種電気工事士資格の取得を目指すところからスタートすると良いでしょう。

学校で学ぶ

電気工事士になるために、高校や大学、専門学校の電気系の学科に通って専門知識を身につける人もいるでしょう。授業の中で電気工事士の資格が取得できるようカリキュラムを組んでいることも。

また、通信講座を利用して電気工事について学び、資格取得を目指す人もいます。短期間で計画的に基礎が学べるため、他業種からの転職を考えている人におすすめのルートと言えます。

電気工事士として就職する

電気工事士資格を取得したら、就職先を探しましょう。一方で、資格を取得するところから支援してくれる企業もあります。

未経験でも、資格がなくてもOKな就職先を探して、働きながら現場で学ぶのも一つの選択肢。見習いの電気工事士として働きながら、資格取得を目指せます。

本や講座から知識を得ることも重要ですが、現場からでしか学べない、生きた技術もあるのです。

電気工事士のキャリアパス

電気工事士は、どのようにキャリアアップしていくのでしょうか。

まず未経験から電気工事士として働き始める人は、第二種電気工事士資格の取得を目指すところからスタート。

そしてさらに、業務範囲が広くなる第一種電気工事士資格の取得を目指します。第一種電気工事士資格があると、規模の大きい現場で働くチャンスがあったり、高度な技術を必要とする現場で仕事ができたりと、キャリアの可能性が広がるでしょう。資格手当がつくことも多く、年収を上げられる可能性も高くなります。

また、電気系の資格はさまざまで、種類も豊富。さらなる上位資格や関連資格の取得を目指すことで、仕事の幅も広がり、社内での昇進や転職にも役立つことでしょう。

技術や専門性を深めていく人もいれば、マネジメントに特化していく人、独立開業する人もいます。

今や人々の暮らしの中で電気のない場所はほとんどありません。その当たり前の暮らしを陰で支えるのは、ほかでもない電気工事士。人々の安全な暮らしや命に関わる仕事であるがために、覚える知識も、身につける技術もたくさんあります。

しかし私たちが電気を使う限り、電気工事士の仕事がなくなることはなく、一度身につけたら一生ものの技術と言えるでしょう。

評判・口コミ

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