「レンタル彼氏・彼女」は、依頼者と一緒に過ごす時間を提供する仕事として紹介されることがあります。
この記事では、この仕事に固有の確認事項を整理します。他の副業とは違う論点が3つあります。①事業者の適法性 ②業務範囲の線引き ③自分の安全です。
先にお伝えしておきます。この記事に「経験者の口コミ」は掲載しません。出所を確認できない体験談は、判断の材料にならないためです。代わりに、確認すべき事項を具体的に示します。
この記事で分かること
- この仕事に関わる法令上の論点
- 登録前に確認する事業者の情報
- 業務範囲を書面で確定させる理由
- 身元と安全を守る具体策
- 報酬と税金の扱い
【最初に】法令上の論点
この仕事は提供する内容によって、法令上の扱いが変わり得ます。
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 風俗営業等の規制に関する法律 | 営業の形態によっては、許可や届出が必要な業種に該当する場合があります |
| 都道府県の条例 | 地域によって規制の内容が異なります |
| 年齢に関する規制 | 18歳未満の就業には法令上の制限があります |
| 労働者派遣・職業紹介 | 事業者と自分の関係がどの形か |
この記事で「合法か違法か」を断定することはしません。提供する内容、営業の形態、地域によって判断が変わるためです。
そのうえで、働く側として確認できることがあります。
- 事業者が必要な許可や届出を得ているかを確認する
- 業務の範囲が書面で明示されているかを確認する
- 不明な点があれば、登録前に事業者に質問する
- 説明が曖昧な場合は登録しない
4番目が最も重要です。「大丈夫です」という口頭の説明だけで進めないでください。
事業者を確認する
| 確認項目 | 見るべきこと |
|---|---|
| 運営会社の情報 | 会社名・所在地・代表者名が明記されているか |
| 特定商取引法に基づく表記 | サイトに掲載されているか |
| 許認可の有無 | 営業に必要な許可・届出を得ているか |
| 契約形態 | 雇用契約か業務委託か |
| 報酬の支払い方法と時期 | いつ、どのように支払われるか |
| 費用の請求がないか | 登録料・研修費・宣材写真代を先に求められないか |
| トラブル時の対応 | 依頼者との間で問題が起きたとき、誰が対応するか |
6行目に該当したら、その場で契約しないでください。国民生活センターは、タレント・モデルなどの契約について「レッスンやマネジメントのためと費用負担を求められても、その場で契約しない」と注意喚起しています。同じ構造の話です。
出典:国民生活センター「【若者向け注意喚起シリーズ<No.9>】タレント・モデルなどの契約トラブル」、消費者庁「簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起」(2026年7月30日確認)
【最重要】業務範囲を書面で確定させる
この仕事で最も多いトラブルは、「聞いていた内容と違う依頼をされる」ことです。口頭の説明だけでは防げません。
| 書面で確認すること | 内容 |
|---|---|
| 提供する業務の内容 | 何をして、何をしないのか |
| 提供しない業務の明示 | ここが最も重要。「行わないこと」を書面に残す |
| 面会場所の条件 | 公共の場所に限るのか。個室や自宅が含まれるか |
| 時間と延長 | 1回の時間、延長の可否と条件 |
| 断る権利 | 依頼を断れるか。断った場合のペナルティの有無 |
| 中止できる条件 | 途中で切り上げられるか。その場合の報酬 |
| 飲酒の扱い | 飲酒を伴う場面の可否 |
| 連絡先の扱い | 依頼者に個人の連絡先を渡す必要があるか |
2行目と5行目を必ず確認してください。「行わないこと」が書面にないと、その場で断る根拠がありません。また断ることでペナルティが課される仕組みなら、断りにくい状況が作られます。
3行目も重要です。面会場所が公共の場所に限られているかは、安全に直結します。個室や自宅が含まれる場合、リスクの性質が変わります。
身元と安全を守る
依頼者と直接会う仕事なので、他の副業より対策が必要です。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 本名を使わない | 活動名で対応する。事業者に本名の取扱いを確認する |
| 個人の連絡先を渡さない | やりとりは事業者のシステムを通す |
| 生活圏の情報を出さない | 最寄り駅、勤務先、通っている店を話さない |
| SNSと紐付けない | アイコン・IDをプライベートのアカウントと分ける |
| 行き先を誰かに伝える | 日時と場所を、家族や友人に知らせておく |
| 公共の場所を選ぶ | 個室・自宅・車内での対応は避ける |
| 飲酒しない | 判断力が落ちる。断れる契約にしておく |
| 記録を残す | やりとり、日時、場所。トラブル時の材料になる |
5行目を習慣にしてください。どこで誰と会うかを、事前に他の人が知っている状態を作ることが、最も基本的な安全対策です。
その場で切り上げる基準
迷う場面を減らすため、先に基準を決めておいてください。
- 説明されていない場所へ移動を求められた
- 個人の連絡先や住所を聞かれた
- 飲酒を強く勧められた
- 身体的な接触を求められた
- 少しでも危険を感じた
いずれかに該当したら、その場で終了して構いません。報酬より安全が優先です。事業者に連絡し、記録を残してください。
トラブルが起きたとき
- 事業者に報告する — 対応窓口があるかを事前に確認しておく
- 記録を残す — やりとりのスクリーンショット、日時、場所
- 身の危険を感じたら110番
- 緊急でない相談は警察相談専用電話「#9110」(受付時間は各都道府県警察で異なり、平日日中が基本)
- 契約や報酬のトラブルは消費者ホットライン「188」または最寄りの消費生活センター
報酬と税金
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 契約形態 | 業務委託なら事業所得または雑所得、雇用契約なら給与所得 |
| 労働時間の通算 | 雇用契約なら本業と通算される。業務委託なら通算されない |
| 労災 | 雇用契約なら適用。業務委託は原則適用されない |
| 確定申告 | 本業が給与所得で、所得が年20万円超なら必要 |
| 住民税 | 20万円以下でも申告は必要 |
| 経費 | 業務委託なら交通費・衣装代などを計上できる場合がある |
3行目を確認してください。業務委託の場合、移動中や業務中のけがについて労災が原則適用されません。
会社員が確認すること
- 就業規則の副業規定 — 禁止か、届出制か、許可制か
- 顔と身元が出る仕事である — 本業の関係者と遭遇する可能性がある
- 活動する地域を本業の生活圏と分けるか
2行目はこの仕事に固有のリスクです。不特定の依頼者と対面するため、本業の関係者と会う可能性を否定できません。これを許容できるかを先に判断してください。
向いていない場合
正直に整理します。次に該当する場合は、他の副業を検討してください。
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 身元を絶対に知られたくない | 対面する仕事のため、リスクをゼロにできません |
| 断ることが苦手 | その場で線を引く必要がある場面があります |
| 事業者の説明が曖昧 | 登録しないでください |
| 先に費用を求められた | その場で契約しないでください |
| 安定した収入が必要 | 依頼の有無で収入が変動します |
身元を明かさずに働きたい場合、在宅で完結する副業のほうが目的に合います。データ入力、ライティング、スキル販売などは、公開する情報の範囲を自分で管理できます。
始める前のチェックリスト
- 事業者の会社情報と特定商取引法に基づく表記を確認した
- 営業に必要な許可・届出について事業者に確認した
- 契約形態(雇用契約か業務委託か)を確認した
- 「行わないこと」が書面に明示されていることを確認した
- 依頼を断れることと、断った場合の扱いを確認した
- 面会場所の条件(公共の場所に限るか)を確認した
- 先に費用を求められていないことを確認した
- 本名を使わず、個人の連絡先を渡さないと決めた
- 行き先を家族や友人に伝える習慣にした
- その場で切り上げる基準を先に決めた
- 本業の就業規則を確認した
- 確定申告と住民税申告の基準を確認した
やめておいたほうがいい進め方
- 口頭の説明だけで登録する — 業務範囲は書面で確認してください
- 「行わないこと」を確認しない — その場で断る根拠がなくなります
- 先に費用を払う — 登録料・研修費・宣材写真代を求める形は避けてください
- 個室や自宅での対応を受ける — 公共の場所を選んでください
- 行き先を誰にも伝えずに向かう — 最も基本的な対策を飛ばしています
- 個人の連絡先を渡す — やりとりは事業者のシステムを通してください
- 飲酒する — 判断力が落ちます
- 危険を感じても続ける — 報酬より安全が優先です
- SNSと同じアイコン・IDを使う — 身元が結び付きます
よくある質問
Q. この仕事は合法ですか。
提供する内容・営業の形態・地域によって法令上の扱いが変わり得るため、この記事で断定はしません。働く側として確認できるのは、事業者が必要な許可や届出を得ているか、業務範囲が書面で明示されているかです。説明が曖昧なら登録しないでください。
Q. 安全のために何をすべきですか。
最も基本的なのは「行き先を家族や友人に伝えておく」ことです。あわせて、本名を使わない、個人の連絡先を渡さない、公共の場所を選ぶ、飲酒しない、記録を残す——この5つを守ってください。
Q. 確定申告は必要ですか。
契約形態によります。業務委託なら事業所得または雑所得で、所得が年20万円を超えると必要です。20万円以下でも住民税の申告は必要です。
まとめ
- 固有の論点は①事業者の適法性 ②業務範囲の線引き ③自分の安全
- 法令上の扱いは提供する内容・営業形態・地域で変わり得る。断定はできない
- 働く側は許可・届出の有無と業務範囲の書面を確認する
- 説明が曖昧なら登録しない
- 書面で最も重要なのは「行わないこと」の明示と断る権利
- 先に費用を求められたらその場で契約しない
- 安全の基本は行き先を家族や友人に伝えること
- 本名を使わない/連絡先を渡さない/公共の場所/飲酒しない/記録を残す
- 危険を感じたら終了してよい。報酬より安全が優先
- 業務委託は労災が原則適用されない
- 20万円以下でも住民税の申告は必要
- 相談先は110番(緊急時)、#9110(緊急でない相談)、188(契約・金銭)
法令や条例は改正され、地域によっても異なります。営業に必要な許可・届出については所管の窓口、契約トラブルについては国民生活センター・消費生活センター、税金については国税庁と居住地の自治体で確認してください。この記事は法的助言ではありません。
Sources:
国民生活センター|【若者向け注意喚起シリーズ<No.9>】タレント・モデルなどの契約トラブル
消費者庁|簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起
警察庁|各種相談等がある方に


