物販副業の始め方|古物商許可は必要?在庫リスクの考え方

物販の副業は「特別なスキルが要らない」と説明されることが多い分野です。作業自体はその通りかもしれません。

ただし、始める前に確認しなければならない手続きが1つあります。古物商許可です。中古品を売って利益を得る目的で仕入れる場合、これがないと古物営業法違反になります。

もう1つ。物販は仕入れた時点でお金が出ていき、売れるまで戻ってこない働き方です。時給制の仕事とは資金の動き方が根本的に違います。

この記事は、許可・在庫・税金という「作業以外の部分」から始めます。

この記事で分かること

  • 古物商許可が必要になる境目と、不要なケース
  • 不用品を売る場合と仕入れて売る場合の税務上の違い
  • 在庫が資金に与える影響
  • 販売先ごとの性格の違いと確認すべき条件
  • 許可が別途必要になる商材

【最初に】古物商許可が必要かどうかを判定する

ここを飛ばして始める人が多い箇所です。判定は単純です。

やろうとしていること 古物商許可
自分が使っていた物、着なくなった服を売る 不要
自分用に買ったが使わなかった物を売る 不要
転売する目的で中古品を仕入れて売る 必要
中古品を買い取って修理し、売る 必要
新品を仕入れて売る(メーカー・卸から正規に) 不要

分かれ目は「転売する目的で仕入れたかどうか」です。売る場所がフリマアプリでもオークションでも、この判定は変わりません。

許可は営業所の所在地を管轄する警察署を経由して、都道府県公安委員会に申請します。手数料と審査期間がかかるため、始める予定があるなら早めに動いてください。

無許可で古物営業を行った場合の罰則は、古物営業法に定めがあります。「知らなかった」は理由になりません。

出典:警察庁「古物営業法」関連ページ(2026年8月3日確認)。実際の申請要件は営業所の所在地を管轄する警察署でご確認ください。

新品なら許可は不要、ただし別の条件がある

新品を正規のルートで仕入れて売る場合、古物商許可は不要です。ただし卸から仕入れるには事業者としての取引口座が必要になることが多く、個人が最初に選べる選択肢は限られます。

税金の扱いは「不用品」と「仕入れ」で違う

ここも先に整理しておきます。

売るもの 所得税の扱い
生活に使っていた家具・衣類など 原則として課税されない(生活用動産の譲渡)
1個または1組が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨とう 課税対象になる
転売目的で仕入れた物 事業所得または雑所得として課税

1行目が、家の不用品整理が課税されない根拠です。ただし2行目の例外と、3行目の「仕入れた瞬間に扱いが変わる」点は押さえてください。

事業所得か雑所得かについては、「年300万円以下なら雑所得」という説明が広まっていますが、正確ではありません。国税庁の通達が基準にしているのは帳簿書類の保存の有無です。

物販は仕入れ・送料・手数料と経費項目が多く、記帳しないと利益額そのものが分からなくなります。記帳は税務のためだけでなく、儲かっているかを知るために必要です。

出典:国税庁「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について(法令解釈通達)」(2026年8月3日確認)

在庫は「売れるまで戻らないお金」

物販が他の副業と決定的に違うのはここです。

働き方 お金の動き
時給制の仕事 働いた分が確実に入る。先に出ていくお金がない
スキル販売 納品すれば入る。在庫を持たない
物販 先に仕入れ代が出る。売れなければ戻らない

売れ残った在庫は、帳簿上は資産でも、生活費には使えません。

したがって、始める段階で次の3つを決めてください。

  • 仕入れに使ってよい上限額(生活費とは別の枠にする)
  • 売れなかった場合に処分するまでの期間
  • 保管する場所(自宅の一部を使うなら、家族の同意も含めて)

1つ目が最も重要です。利益が出た分を全額また仕入れに回すと、手元の現金が増えないまま在庫だけが積み上がります。

不用品の販売から始める理由

いきなり仕入れから入らないほうがよい理由は3つあります。

不用品から始めると分かること なぜ重要か
出品から発送までの手間の実際 写真撮影・採寸・梱包・発送の時間が読める
販売手数料と送料が引かれた後の手取り 表示価格と手取りの差を体感できる
売れるまでにかかる期間 仕入れの回転を見積もる材料になる

2行目を軽く見ないでください。販売価格から手数料と送料を引くと、手元に残る額は想定よりかなり小さくなります。この感覚を掴む前に仕入れると、赤字の商品を選んでしまいます。

そして不用品の販売なら古物商許可は不要で、原則として課税もされません。手続きの負担なく実務を確認できます。

不用品から始めるなら、出品する場所を1つ決めるところからです。

モバオク公式サイト出品手数料と落札システム利用料は公式サイトでご確認ください。

販売先の選び方

売る場所によって、手数料・集客・出品の手間が変わります。

形態 性格 確認すること 公式サイト
オークション 価格が入札で決まる。相場が読みにくい物に向く 手数料、出品期間、落札後の手続き モバオク
自分のネットショップ 集客は自力。価格とブランドを自分で決められる 開設費用、決済手数料、集客の手段 BASE
ハンドメイド専門 自作品が対象。仕入れが不要で在庫リスクが小さい 出品条件、販売手数料、著作権の扱い minne
デジタル素材 在庫という概念がない。一度作れば繰り返し売れる 審査基準、報酬率、必要な権利処理 PIXTA

3行目と4行目は仕入れを伴わない形です。物販の在庫リスクを避けたい場合は、この2つが現実的な選択肢になります。

各サービスの概要

モバオクオークション

DeNAが運営するネットオークションです。落札手数料がかからない代わりに月額利用料がかかる形をとっています。出品数が多い人ほど手数料の構造が有利になるため、まず自分の想定出品数で試算してください。料金体系と落札後の手続きを公式サイトで確認してください。

BASEネットショップ開設

自分のネットショップを開設できるサービスです。初期費用をかけずに始められる一方、集客は自分で行う必要があります。売れるかどうかは商品力と告知次第で、開設しただけでは人は来ません。決済手数料とサービス利用料の率を公式サイトで確認してください。

minneハンドメイド

GMOペパボが運営するハンドメイド作品のマーケットです。自分で作った物を売る形なので仕入れが発生せず、在庫リスクを抑えられます。制作にかかる時間を時給換算して、価格が見合うかを先に確認してください。出品条件と販売手数料を公式サイトで確認してください。

PIXTAデジタル素材の販売

写真・イラスト・動画素材を登録し、購入されるたびに報酬を受け取る形のサービスです。在庫という概念がなく、一度登録した素材が繰り返し売れる可能性があります。審査があり、人物が写る素材には別途モデルリリースが必要です。登録条件と審査基準を公式サイトで確認してください。

許可や制限が別途かかる商材

古物商許可とは別に、商材ごとの規制があります。

商材 扱い
酒類 継続的な販売には酒類販売業免許が必要
医薬品・医薬部外品 販売業の許可・届出が必要
興行チケット 特定興行入場券の不正転売は法律で禁止
食品 自作品の販売には営業許可が必要な場合がある
ブランド品 模倣品の販売は商標権・著作権の侵害にあたる

3行目は2019年に施行された法律で、定価を超える価格での反復継続的な転売が禁止されています。「人気があるから高く売れる」という発想がそのまま違法になる領域です。

5行目も重要です。仕入れた側が模倣品と知らなかった場合でも、販売した責任は問われます。真贋の判断ができない商材には手を出さないのが確実です。

継続するときに効いてくること

作業を続けていくと、時間の使い方が問題になります。

工程 時間を減らす方向
撮影 撮影場所と照明を固定し、毎回同じ条件で撮る
説明文 型を作り、商品ごとに差分だけ書き換える
梱包・発送 資材をサイズ別にまとめ買いし、発送日をまとめる
記帳 売上と経費をその都度入力する。月末にまとめない

物販は1件あたりの利益が小さい分、1件にかかる時間が利益を直接削ります。時給に換算して、続ける価値があるかを定期的に確認してください。

最初の1か月の進め方

時期 やること 目標
0週目 就業規則で副業の可否を確認する 会社のルールを確定させる
1週目 家の不用品を5点出品する 出品から発送までの手間を測る
2週目 売れた分の手数料・送料を差し引いて手取りを計算する 表示価格と手取りの差を把握する
3週目 仕入れを行うかを判断する。行うなら古物商許可の申請準備 許可の要否を確定させる
4週目 1か月の作業時間と利益から時給を算出する 続けるかどうかを数字で決める

3週目まで仕入れをしないでください。手取りの感覚がないまま仕入れると、赤字になる価格で買ってしまいます。

チェックリスト

  • 就業規則で副業の可否と区分を確認した
  • 仕入れを伴うかどうかを決め、古物商許可の要否を判定した
  • 仕入れに使ってよい上限額を、生活費と分けて決めた
  • 売れ残った場合に処分するまでの期間を決めた
  • 保管場所を確保した
  • 販売手数料と送料を引いた後の手取りを計算した
  • 扱う商材に別途の許可や規制がないか確認した
  • 記帳の方法を決めた(帳簿書類の保存が所得区分に関わるため)

やめておいたほうがいい進め方

  • 古物商許可を確認せずに仕入れる。後から取得しても、無許可期間の営業は消えません
  • 生活費から仕入れる。売れるまで戻らないお金です
  • 利益を全額また仕入れに回す。現金が増えないまま在庫だけ積み上がります
  • 手数料と送料を引く前の金額で利益を計算する。実際の手取りは大きく下がります
  • 真贋の判断ができない商材を扱う。知らなかった場合でも販売責任は問われます
  • 人気商品の高額転売を狙う。商材によっては法律で禁止されています

よくある質問

Q. 家の不用品を売るだけでも古物商許可は必要ですか。
A. 不要です。許可が必要になるのは、転売する目的で中古品を仕入れて売る場合です。

Q. 不用品を売った収入は確定申告が必要ですか。
A. 生活に使っていた物の譲渡は原則として課税されません。ただし1個または1組が30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨とうは対象になります。

Q. 在庫を持たずに物販はできますか。
A. 自作品を売る形やデジタル素材の販売なら、仕入れが発生しません。在庫リスクを避けたい場合の選択肢になります。

まとめ

  • 転売目的で中古品を仕入れるなら古物商許可が必要。売る場所は関係ない
  • 自分の不用品を売るだけなら許可は不要で、原則として課税もされない
  • 物販は先に仕入れ代が出て、売れるまで戻らない。仕入れの上限額を生活費と分けて決める
  • まず不用品を5点売り、手数料と送料を引いた手取りを体感してから仕入れを判断する
  • 酒類・医薬品・チケット・食品・ブランド品は別途の規制がある
  • 所得区分は金額ではなく帳簿書類の保存の有無で判断される

最初にやることは、古物商許可の要否を判定することです。仕入れるかどうかを決めない限り、必要な手続きも決まりません。

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