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  • INTERVIEW

言いたいことを抑えつけてきた私が、周りの目を気にせず「こうしたい」と言えるようになるまで

 現在中途採用を担当し、ダイバーシティ推進室の立ち上げを行っている芦田。自身のセクシャリティをクエスチョニングであるとカミングアウトしています。今日は、そんな芦田がどうしてエージェント入社したのか、そしてどんな風に成長したのかを聞いてきました。

 実は、採用面接後芦田のリクルーターとして面談に入った筆者秋山。当時を思い返しながらインタビューしていこうと思います。

自分の言いたいことを無意識に抑圧していた

――リクルーター面談時、「働かずに生きていくにはどうしたらいいかいつも考えている」と言っていましたよね(笑)

 はい。こんなこと採用担当が言っちゃっていいんですかね(笑)

 新卒で就活をしなきゃ、となったときに全然身が入らなかったんです。学校の勉強の方が楽しかったので。私は映画や本が好きで、文学を専攻していました。本当は日本文学がやりたかったのですが、先生が面白かったのでアメリカ文学系のゼミに入りました。研究が面白くて、就活にあまり意欲が湧かなかったんですよね。

 やりたいことが明確にあるわけではなかったので、「働かずに生きていきたいなあ」と考えていました。なんとか実現できないか、いろいろ考えましたね。返済しなきゃいけない奨学金がどのくらいあって、東京の家賃はいくらで、食費がどのくらい、生活費がどのくらい…って(笑) でも計算すると到底アルバイトでは生活できないことが証明されてしまって。フリーランスで生きていける能力もなかったですし、こういう言い方は良くないのですが、諦めて就職活動をすることにしたんです。

――エージェントに入社する前は何をしていたのですか?

 新卒では老舗和食店に就職しました。日本文化に興味があったのと、学生時代に和食料理店でアルバイトをしていたので。ただ、先程も言ったように半ば諦めて就職をしたのであまり意欲的な気持ちはありませんでした。世間でよく言われる「とりあえず3年は続けてみよう」という言葉を実践することだけ決めて、「3年ひとつのことをやれば何か身に付けることができるだろう」と入社。着物を着て接客することは楽しかったですが、お客様に「可愛いね」と言われることに違和感がありました。

和食店勤務時代

――自分のセクシュアリティを自覚したのはその頃?

 そうですね。学生時代にソフトボールをやっていて、甲子園に行けないことを知って悔しい思いをしたり、女性らしさを求められることに抵抗は持っていました。「クエスチョニング」という言葉を知らず、「男の子に生まれたかったなぁ」となんとなく自分の性別に違和感がある状態が続いていて。「LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)」という言葉は知っていたのですが、「LGBTQ+」という言葉を知ったのが社会人になって2年目の頃でした(「Q+」というのは、セクシュアルマイノリティ全般を表す「クィア」や「クエスチョニング」を指し、「+」が加わることで多様な性が存在することを表しています)。

 「クエスチョニング」というのは、自分の性を定めない状態を指します。自分の性がどちらかわからず悩んでいる人や自分の性をあえて決定しない人が該当し、私もそのひとりです。

 自らのセクシュアリティが影響しているのかもしれませんが、昔から自分の言いたいことを抑圧してしまう癖がありました。着物を毎日着る事に違和感があっても、それを言って「何言ってるの」と思われるのは嫌でしたし、波風を立たせたくないと思っていました。だから女性らしい所作を求められることにも「そういうものだ」と我慢、というか流してやり過ごしていたところはありましたね。

エージェントの面接だけがやりたいことを聞いてくれた

――当初から決めていた通り、3年で和食店を退職。その頃自身のセクシュアリティについても自認されました。退職後のことについても教えていただけますか。

 自らのセクシュアリティを自認したことで何かが変わったということはないんです。ただ、これまでもやもやしていたものが名前が付いたことでしっくりくるようになった、という程度。仕事に影響するようなことは無かったです。

 繁忙期を過ぎてすぐに退職したので、在職中に転職活動はできませんでした。「何をしようかなあ」と考えていたところ、知人から生命保険の営業職を紹介されて転職しました。ただ商材をあまり好きになれなかったんですよね。

 今度はちゃんと自分の傾向を考えよう、と思い立ち、好きなもの、得意なことを整理しました。本や映画が好き。ライターやってみたいかも! でもライターって経験者しか採用していないなあ。そもそも書くことって私好きなんだっけ? 面白いものを面白いと言えることの方が好きなんじゃない? と、こんな具合で。

 そこで、PRの仕事に目を向けるようになってエージェントの求人を見つけました。

――エージェントに入社しよう、と思った決め手は何だったのですか?

 「人」ですね。他社の面接も受けていましたが、「あなたは何ができるんですか」という会社ばかりだったのに対し、エージェントの面接だけが「やりたいことないの? 一緒にやろうよ!」と言ってくれたんです。仕事はやってみないとわかりませんが、どんな人と働くかは面接でも見られるので、一緒に働く人がこんな人なら楽しく自分も成長できるだろうな、と思いました。

面接を担当した八並の記事はこちら

――入社してからはどうでしたか?

 最初はモバイル業界向けのセールスプロモーションを行いました。飲食店で行ってきた接客では、相手のニーズがわかった状態でその期待を満たしていけばよかったのに対し、セールスプロモーションはニーズを掘り出すところから始めなければいけません。お客様に購入を決断していただくためのトークや、多様な商材の中から最適な商品をお客様に提示する力というのは、私の持っていないスキルでした。約1年セールスプロモーションに従事し、価値提案の力を身に付けました。

 その後、ヒューマンリソース事業部に異動。これまでBtoC営業の力を培ってきましたが、新しいスキルを身に付けたいと思い社内求人に応募しました。現在は中途採用を担当していますが、営業と似通った部分が多く、これまでの経験を活かしながら成長できていると感じます。営業は商品を買ってもらうために接客し、採用は自社を選んでもらうために面接をしますから。

カミングアウトして、言いたいことを言えるようになった

――成長したと最も感じる点はどこでしょうか。

 「言いたいことを言えるようになったこと」ですね。

 異動当初、CHROの八並から「芦田さんは何がやりたいの」と聞かれました。入社面接で同じように聞かれたときはふわっとしか答えられなくて。入社後に行われたLGBTQ+の研修を受けて「セクシュアルマイノリティに理解を示している会社」ということを知り、「カミングアウトできるかも」と思ったんです。だから、その質問をされたとき自分のセクシュアリティについて話して、ダイバーシティ推進に従事したい気持ちを伝えました。当時はLGBTQ+に関する研修を行ったとはいえ、その1回きり。具体的にダイバーシティについての活動をしているかと聞かれるとそうではなかったので、もっとこの活動を活発にしていきたいと思いました。

 私は規則の中でがんじがらめになりやすいタイプです。規則は絶対と思い込んでいました。しかし、エージェントに入社して意見を求められることが多くなって「規則も変えられるのだ」「自分で創ってもいいんだ」と知りました。カミングアウトしたことで、自分の意見を遠慮することなく言えるようになったと思います。

 これまでのように言われたことを期待通りにやっているだけでは足りないのだと知りました。自らの意見を通すためには、自分で決めて自分で取り組む力が必要だと感じます。目線が自分から会社に変わったと思いますね。

――現在はダイバーシティ推進室発足に向けて活動されています。エージェントがより誰にとっても過ごしやすい会社になるために何が必要だと思いますか。

 新メンバー研修の中に、LGBTQ+研修を導入し「知る」という下地はできました。しかし「知る」ことと「認める」ことは違うと思っています。実際にLGBTQ+当事者と関わってみないとわからないこともたくさんあるし、接し方だってわからないと思うのです。だから、もっと関わる機会を増やしていきたいと思いますし、制度だってあらゆるセクシュアリティに対応できるようもっと間口を広げられると思います。

 会社としてもダイバーシティ推進室の発足は後押ししてくれています。メンバーを巻き込んで、もっと大きな流れを創り出せるようにしていきたいですね。ゆくゆくは、自社だけでなく社会的にも、誰もが過ごしやすい社会を創り出せるような活動をしていきたいです。

 まずは自社から。セクシュアルマイノリティに限らず、誰もが過ごしやすい会社をみんなで創っていきたいです。

芦田真子(Mako Ashida)

ヒューマンリソース事業部所属。中途採用担当。
自身のセクシュアリティを「クエスチョニング」であると自認したのは社会人2年目。ダイバーシティ推進の取り組みを大々的には行っていなかったエージェント入社当初は自己のセクシュアリティについて言及することはなかった。HR事業部異動後取り組み活性化に着手するため自身のセクシュアリティを公表。カミングアウト後は採用活動と並行して、ダイバーシティ推進室発足の活動にも着手している。

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