性的マイノリティに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体「work with Pride」が主催する『PRIDE指標2023』にて、エージェントが「ゴールド」に認定されました。
一昨年の「ブロンズ」、昨年の「シルバー」を経て、最高評価の「ゴールド」認定です。
work with Pride 概要
work with Prideの目的は、日本の企業内でLGBTQ+の人々が自分らしく働ける職場づくりを進めるための情報を提供し、各企業が積極的に取り組むきっかけを提供することです。
この目的を達成するために、work with Prideでは年に一回、企業・団体の人事・人権・ダイバーシティ担当者を主な対象に、LGBTQ+に関するカンファレンスを開催や、企業や団体におけるLGBTQ+に関する取り組み評価制度である『PRIDE指標』、国・自治体・学術機関・NPO/ NGOなどとの、セクターを超えた協働を推進する企業を評価する『レインボー認定』の運用等行っています。
(公式HPより引用:https://workwithpride.jp/about-us/)
PRIDE指標について
本指標の名称は、LGBTQの人々が誇りを持って働ける職場の実現を目指して、「PRIDE指標」といたしました。5つの評価指標の名称も、PRIDEの各文字に合わせて、
- Policy (行動宣言)
- Representation (当事者コミュニティ)
- Inspiration (啓発活動)
- Development (人事制度・プログラム)
- Engagement/Empowerment(社会貢献・渉外活動)
としています。
( 公式HPより引用:https://workwithpride.jp/pride-i/#prideOffset)
ゴールド認定について、LGBT-ALLY Networkにお話を伺いました
LGBTQについての活動を行う社内コミュニティ「LGBT-ALLY Network」より、芦田、永崎、河越の3人に話を聞いてみました。
芦田
セクシュアリティはクエスチョニング(自分の性を定めない状態を指します。自分の性がどちらかわからず悩んでいる人や自分の性をあえて決定しない人が該当します)。
社内コミュニティ「LGBT-ALLY Network」主宰。
永崎
FtMのトランスジェンダー(身体的には女性、性自認は男性)。
「LGBT-ALLY Network」主宰。
河越
学生時代、ジェンダーに関する団体の代表を務め、ALLYとして「LGBT-ALLY Network」にジョイン。
ずっと目標にしていた、念願のゴールド認定です! やりましたね!
永崎
ありがとうございます。
今年から認定の基準が厳しくなったので、実は結構不安だったんです。
芦田
昨年に比べて、基準がとても細かくなりましたよね。また、社外公表がマスト要件になったので、ダイバーシティポリシーの追加なども行いましたし、研修内容も「LGBTQ」だけでなく「ノンバイナリー」「インターセックス」など、より広い範囲で研修ができているか、など見直しが必要になりました。
永崎
もはやブロンズ認定とれるかな!? って(笑)
基準が細かくなって、見直しも多く必要になったかと思います。特に大変だった部分、力を入れた部分はどんなところでしたか?
芦田
個人的には「ダイバーシティポリシー」の文言作成は難しかったです。
これまで、CSRや就業規則内に文言を入れる、というのはやっていただんですが、会社としてダイバーシティに関する方針の文書は対外的には出していなくて。
ポリシーを作成して、経営に提案して、承認してもらって……というのはもちろん、ホームページ上に新たにページを作ってもらう費用や工数を考えると、どのくらい時間がかかるかわからなかったので、公開できるかは不安でした。
ホームページのリニューアルと時期が重なったのは幸運でしたね。
永崎
他にも、現状の社内制度や方針を見直す中で、明確な相談窓口を改めて設定したことは、社内の皆さんにも広く知ってほしいと思います。
私たちのような活動団体がいることは社内の皆さんも既にご存知だと思うのですが、明確に「ダイバーシティ相談窓口」というものは設けていなかったので。
あとは、異動の際の引っ越し補助の適用範囲を同性パートナーにも拡大する。また、これはラッキーなんですが、本社移転先に「誰でもトイレ」が備え付けられたことも認定基準の中で新たに満たせた点ですね。
基準が細かくなって、新たに見つけた会社の課題などありましたか?
河越
私は昨年から「LGBT-ALLY Network」に入って、認定に向けた取り組みには初めて参加しました。外部イベントなどにも参加したのですが、その中で社内外問わず講演を行ったり、企業同士で取り組み内容を共有する、という他社の取り組みを見て、社内だけでなく対外的な発信をする必要性も感じました。
芦田
私は研修ですね。社員向けの研修はやっているのですが、もっと細かくレイヤーを分けて研修が必要、という点は認定基準が細かくなったからこそ気が付けた点だと思います。面接官用の研修、人事担当用の研修、管理職用の研修、経営者用の研修、など階層に応じた研修が必要、というのは取り組めていない点です。
私たちが現状作っているコンテンツは、どのようなマネジメントが必要か、や、採用に関しての進め方、などは網羅できていないので、改善していかなければ、と思います。
ゴールド認定は受けられましたが、すべてのチェック項目を満たせた、というわけではありません。今後進めていきたい取り組みはありますか?
永崎
「性別移行や戸籍変更の相談対応や社内手続きに関するガイドライン」という項目があるのですが、これは作りたいと思っています。
また、入社前に通称名の使用ができることを知れる状態は作りたいですね。
面接時に本名を使わなくてはならないのか、入社後、例えば健康診断の際はどこまで本名提示が必要か、などカミングアウトしていない状態では相談もできないので、確認できる場所は作っておきたいな、と思います。
芦田
会社によって健康診断の進め方も違うので、わかりやすくしていきたいです。
対応ができる、と会社から周知する、というのは全然違う話なので、周知をしていくために穴がないように精査していかなければな、と思います。
入社前に通称名使用ができることを知れるのはいいことですね。履歴書に記載する名前が本名出なくてはならないのか、通称名でも問題ないのか、というのはわからないですし。
永崎
私の場合は、本名、通称名それぞれ2種類の履歴書を使っていました。
通称名で進めると本名を伝えるタイミングが難しいですし、本名(女性名)で進めると面接時に「女だと思っていたのに男が来た!?」となったり。男子校、女子校出身、となるとさらに難しくて、カミングアウトせざるを得ない。就職・転職は難しいです。
河越
私は新卒入社ですが、はじめての就職だとすべてを正直に伝えないといけないのかな……と迷ってしまうと思います。「通称名は使えない」と最初から決めつけて就職活動をしてしまいそう。
永崎
入社してから「通称名を使いたい」と言っても、その時点で既にメールアカウントや名刺が作られてしまっている……ということも大いにあり得るので、余計なトラブルを防ぐためにも選考段階で求職者に対してガイドラインを配れているといいですよね。
芦田
結婚しても改姓前の苗字を使いたい、という人もいるでしょうし、選択肢があることを認知してもらうツールはLGBTQ当事者に限らず必要だなあと思います。
永崎
制度の使い方も、特に福利厚生系のものは、上長を介さずに労務へ直接申請ができるようになっています。最初から「適用外だから」「知られたくないから」と使える制度を使わないまま諦めてしまう人もいると思うので、認知機会の拡大は積極的に進めていきたいですね。
昨年、申請フロー上で承認をするのは労務のみ、として労務担当・労務領域管掌役員以外の社員には伏せて申請できるように仕組みを変更しました。
★下記の制度も、エージェントでは性別・性指向問わず利用することができます
- 結婚祝金の申請
- 結婚休暇の利用
- 弔慰金/家族弔慰金の申請
- 忌引休暇の利用
ずっと目標としていた「ゴールド認定」は達成できました。次の目標は考えていらっしゃいますか?
永崎
先ほどお話した内容にもあったとおり、ゴールド認定を受けたからといってできていないことはまだまだあります。当面は、基準を確認しながらできている箇所を増やしていくことを続けていきたいですね。
芦田
ダイバーシティポリシーなども、公開して終わり、ではなく中身をきちんとステークホルダーに知っていただくことも必要だと思います。新しい取り組みの認知拡大や定着を進めつつ、ゴールド認定を来年以降も受けられるように活動を続けていきたいです。